ちばらき人 ーIBARAKI×CHIBA-

愛情たっぷりのブランド豚で、東庄町を元気に!~愛東ファーム 高安恵子さん~

【Locoty×ちばらき人インタビューvol.6】

高安恵子(たかやす・けいこ)
東庄町生まれ、東庄町育ち。高校を卒業後2年ほど会社員を経験したのち、祖父の代から続く養豚業に携わる。現在は「愛東ファーム株式会社」社長として、また3児の母として日々奮闘中。東庄町でSPF豚を飼養する養豚農家グループ「JAかとり東庄SPF豚研究会」に所属し、メンバーと共に安心安全で美味しい豚の追求に努めている。また、東庄町の町おこし隊として「ポーク&ビア夏祭り」を行うなど、地域活性化イベントにも積極的に参加。

― 養豚を経営するようになった経緯をお聞かせください。

祖父が養豚業を始め、私も小さいころから養豚に親しんだ環境の中で育ってきました。私が20歳の時に就農し、それから2~3年経った頃のことです。豚舎の老朽化をきっかけに、父が「この先、頑張って養豚業を続ける見込みがなければ、廃業しよう」と言いまして。その時、私の中で「それはすごくもったいない、もっと頑張りたい」という思いがあり、新しく豚舎を建て規模を拡大したいと父に話をしました。

その後法人化して1年半ほど経った頃に、事業の中心を担っていた父が突然倒れ、他界しました。今から約3年前のことです。経営に関して全く分からない中で社長となり、とにかくもがきながら、そして多くの方に助けていただきながら、どうにかやってきました。今こうして養豚業をやっていけるのは、支えてくれた家族や従業員と、「JAかとり東庄SPF豚研究会」の皆さんのおかげです。

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― 養豚業の魅力とは?愛東ファームの特徴は?

子豚に愛情をかけたら、かけただけ応えてくれることが一番の魅力ですね。「かわいい、かわいい」とやれば懐いてくれるんです。そして、うちの豚たちはみんな穏やか(笑)

ストレスのある豚はどこか殺気立っているようなのですが、うちの豚たちはそういうことはないですね。もちろん豚たちにストレスを与えないよう、音をドタドタ出さない、扉をバンと閉めないなどの注意を払っています。また、無駄に豚を触らないことも大切。見守って困ったとき危ないときに助けてあげる程度、ですね。

愛東ファームには、現在従業員は社員が5名(うち女性2名)と外国人技能実習生が3名います。豚を育てる仕事をやりたいという人は本当に限られていて、また華がある仕事でもありません。ですが、従業員はみんな豚が好きで、常に豚のことを考えて仕事をしてくれています。
経営者としては、生き物を扱う以上完全休業は出来ないので、人員の調整は常に難しい課題です。だからこそ従業員のお休みや有給休暇の取得は、しっかりと取り組まなければと考えています。

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― 養豚の仕事はどのようなお仕事ですか?大変なことは?

うちは8:00~17:30が定時です。お掃除、エサやり、水飲みや空調の機器チェック等を行い、出荷をします。お産があれば場合によっては分娩介助も行います。
子豚が母豚のおっぱいを飲むときには、ちゃんとおっぱいが飲めているかどうか見てあげます。子豚はそれぞれ母豚の自分用の乳首が決まっているんです。母豚が横になって自分用の乳首が隠れてしまうと、おっぱいが飲めずにウロウロ迷ってしまう。そんな時には、乳首がちゃんと見えるように母豚の位置を変えて「ここだよ」って教えてあげるんですよ。

aitoufarm-14(画像提供:JAかとり東庄SPF豚研究会)

大変なことといえば…そうですね、豚舎の設備が豚に壊されてしまうことでしょうか。
基本、豚は暇ですから遊びたくなっちゃう。例えばカタカタ動くものがあれば「カタカタカタカタ…」と鼻でずっと遊んでいるんです。それはそれで可愛いんですけど、そのうちヒンジが壊れてしまったり。あとは鉄柵を舐めて遊んでいるので、だんだん鉄が溶けて細くなってしまったり。そうやって遊んでいる中で、柵やらエサ箱やらを壊すことが頻繁にあるのが困りものですね。

また、豚は生き物なので環境管理は重要です。環境によって、すぐ病気になってしまいます。直風に当たるとお腹を壊したり風邪をひいてしまったり。そうならないために換気や温度のチェックは必須です。

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― ブランド豚『東の匠SPF豚』についてお聞かせください。

東庄町の12の養豚農場で「JAかとり東庄SPF豚研究会」(※以降、東庄SPF豚研究会)という生産者グループをつくり、ブランド豚『東の匠SPF豚(ひがしのたくみSPFぶた)』を生産・出荷しています。『東の匠SPF豚』は、豚本来の旨さを保ちつつ昔のような豚特有の臭みを出しません。肉質も柔らかくあっさりとした味わいなので、どんな調理法にも合うんです。

― 『東の匠SPF豚』を使ったお料理をいただきましたが、身が柔らかく程よい旨味。特にサクッと噛める脂身に感動しました。お子さんからお年寄りまで喜んでいただける、食べやすく美味しい豚肉だと実感しました。

私たち「東庄SPF豚研究会」では定期的に研究会を行いながら、時代に合った豚肉の美味しさを追求しています。この取り組みは平成26年に「農林水産大臣賞」を受賞し、また、より高い安全性を求めて12の農場すべてがHACCPという国際規格の認証農場となっています。長く続けられる生産体制で、これからも安心・安全・美味しい『東の匠SPF豚』を消費者の皆さんに提供していきたいです。

『東の匠SPF豚』のマークの豚肉を見かけたら、ぜひ手に取って、食べてみてください。田谷ミートセンター直売所や今回撮影協力していただいている「方宝料理専門店 たつみ」でも扱っています。

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― 東庄町には、どのように関わっていますか?

私が参加している東庄町の「まちおこし隊」は50歳前後の方が多いのですが、とにかくみなさんエネルギッシュ!そのパワーは見習うことが本当に多いです。一昨年UIJターン事業の一つとして、まちおこし隊で「ポーク&ビア夏祭り」を企画し、今年で3回目を迎えました。このイベントには「東庄SPF豚研究会」も協賛し、『東の匠SPF豚』を多くの方に楽しんでいただけました。

お盆時期に「ポーク&ビア夏祭り」を行うことで、同窓会のように友達に会えた、旧友と久しぶりに連絡を取れた、といった声もいただいています。地域の皆さんが楽しめるイベントであると同時に、東庄に人がやってくるきっかけが作れたのは、本当に良かったと思います。

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東庄町は養豚の他にも、「米」「いちご」「小かぶ」の生産も盛んで、若い人たちも一生懸命頑張っています。生産する場所には人が集まる、そういった意味で愛東ファームも町の役に立てたらと考えています。そのためにも、まずは環境を整え見た目もきれいな豚舎にしていくことで、地域から養豚の「臭い・汚い」というイメージを変えていきたいですね。子どもの友達から「お前んち、美味しい豚肉育ててるんだよな!」って、喜んでもらえるような。

この町も少子化が進み、来年には小学校の統廃合が予定されています。ですが、いつか子どもが増えて、この豊かな自然の中でのびのびと遊べる、そんな東庄町になっていくといいなと思います。

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― 今後の目標は?

養豚業として二つ。
まず一つは、消費者の皆さんに美味しいと言ってもらえるような豚肉を生産し、その時代に合った美味しさを追求し続けていくことです。もう一つは、豚が過ごしやすい環境づくりですね。豚たちがストレスなく、すくすく健康に育つように。

個人的には…3人の男の子の母親なので、子どもたちと一緒に遊ぶ時間、家族で旅行したり、そういう時間を作ってあげたいです。子どもたちが大きくなるまで、もっとたくさん一緒の時間を過ごしたいと思います。

最後に、ぜひ自然豊かな東庄に遊びに来てください。そして、美味しい東庄の豚肉を食べてください!

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-撮影協力-

方宝料理専門店 たつみ

千葉県銚子市宮原町473
TEL 0479-33-3198

(取材/kawano akiko  撮影/花ヶ崎拓也)

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