2018年夏、関東を中心に全国で風疹患者数が急増しています。
国立感染研究所によると今年に入ってからの患者数は273人(8月26日現在)で、すでに昨年1年間の約3倍にも上ります。(参考:「首都圏における風疹急増に関する緊急情報 8/29」
風疹はウイルス性の感染症で、くしゃみやせきなどの飛沫で感染します。潜伏期間は2~3週間。発疹が出る1週間前から人に感染するため、患者本人も風疹と気付かないまま、感染を広げてしまうことが少なくないのだそうです。そして、発症予防には風疹のワクチン接種が極めて有効なのです。
「天性風疹症候群」とは?
風疹にかかると、どんな症状が出るのでしょう?
小さく赤い発疹が全身に広がり、38度前後の発熱が見られます。重症化すると症状が長く続き、また脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、決して軽視はできない疾患でもあります。
そしてもう一つ。
免疫のない女性が妊娠初期に風疹にかかると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生児に「先天性風疹症候群」(心疾患、難聴、白内障など)という障がいを引き起こすことがあるのです。
しかも妊娠1か月の妊婦が風疹にかかった場合の、赤ちゃんの「先天性風疹症候群」発症率は何と50%以上!さらに先天性風疹症候群は、それ自体の治療法がまだ無いのです。
風疹の予防接種、子どもの頃に受けている?
あなたは、自分が風疹の予防接種を受けているかご存知ですか?
ほとんどの方が、受けているかどうかはっきり覚えていらっしゃらないのでは?
実は30代から50代の男性は、風疹の予防接種を受けておらず、風疹抗体を保有している可能性が高いのだそうです。次の表をご覧ください。
(出典元:厚生労働省 風しんの感染予防の普及・啓発事業)
(出典元:国立感染症研究所 風しん予防啓発ポスター)
風疹の発症、そして「先天性風疹症候群」を防ぐには?
風疹の発症予防には、ワクチン接種が極めて有効です。
しかし、妊婦は風疹のワクチンを接種することが出来ません。
そこで、自治体の中には風疹の予防接種の助成を行っているところもあります。
■ 行方市(妊娠を希望する女性・妊娠している女性の夫・妊娠を希望する女性の夫 ※条件有)⇒行方市HP
■ 鉾田市(妊娠を希望する女性 ※条件有)⇒鉾田市HP
■ 鹿嶋市(妊娠を希望する女性・妊娠している女性の夫)⇒鹿嶋市HP
風疹のワクチン接種は任意接種です。助成の条件に当てはまらない方は全額自費(※およそ10,000円前後)で受けることになります。
これから赤ちゃんを希望する女性、その夫、また十分な抗体を持っていないと思われる世代の男性など、ぜひ風疹ワクチンの接種をご検討下さい。過去に風疹ワクチンを受けている人も、接種が1回だと十分な抗体ができていない可能性があります。十分な抗体があるか、事前に検査することもできます。風疹ワクチンを打つことは、将来のママと赤ちゃんへの、安心のプレゼントでもあるのです。
みんなで考えよう「STOP!風疹」
風疹の感染予防については、厚生労働省のHPに分かりやすく記載されています。
また、産科医療をテーマにしたコミックス「コウノドリ」4巻でも、先天性風疹症候群について取り上げられています。
この機会に風疹について、家庭で、職場で、話をしてみてはいかがでしょうか。
※記事は2018年9月現在の情報です。