児童館の大切な役割のひとつ、それは乳幼児(とその保護者)が自由に過ごせる場だということ。インタビュー後編は、主に乳幼児期の子をもつ親にとっての児童館についてお話を聞きました。平泉児童センターの一番奥にある、とても日当たりの良い明るい部屋。平日午前中は常駐のスタッフがいる「子育て広場」で、小さな子供たちが安全に楽しく過ごすことができます。乳幼児とママ・パパのための児童館とは?主に「子育て広場」で子供たちに接している先生方にお話を聞いてみました。
――「子育て広場」とはどういうところですか?
【Y先生】 0歳の赤ちゃんから未就学児までが保護者と一緒に利用できる遊び場です。おもちゃや滑り台もあるので、基本的に「自由に遊んでいただく」という感じです。常に私たちスタッフがいて、時々お話を読んだりリトミックをしたりします。ほわっとした雰囲気で。(笑)
――ほわっ?
【Y先生】 よくある「ママ友グループ」みたいな雰囲気は少ないかなと思っています。ほわっと子供とお母さんが遊んでいて、横に同じくらいの月齢のお子さんがいたら、私たちスタッフやお母さんどうしが声をかけたりして、本当にほわっと。
【Y先生】 お母さんも慣れてくると、だんだんと悩みとかお話されるようになってくるんですね。それまではまずこの場所に親子ともども慣れていただく、私たちはそのお手伝いをさせていただいてます。
――先ほどから気になっていたんですが、パパもけっこういらっしゃるんですね。
【館長先生】 育メン多いですよ。最近ではここに来るパパも珍しくなくなりました。自分たちが育児をしていた頃を振り返ったら「えー!羨ましいなぁ~」って。(笑)
――「子育て広場」で、先生方が心がけていらっしゃることは何ですか?
【A先生】 神栖は工場地帯で転勤してくるご家族も多いので、孤立して一人で悩んでいるお母さんが多いのかな?と思います。そうした来館者どうしを結びつける役割も求められます。また周りのことが知りたいということで来てくださる方も多いので、情報を提供し地域とつながりが持てるよう気にかけています。
――そういえば私も娘が小さいころに、こちらでいろいろな情報をいただきました。
【A先生】 何気ない日常的な会話を通し、普段と比べて様子が気になる場合は、職員間や適切な機関と連携をとって対応しています。
一人で悩みを抱え込みがちな、乳幼児のお母さんのための場所でもある児童館。そんな悩みを気軽に相談できる場が、2016年から4つの児童館(平泉児童センター・うずも児童館・若松児童館・女性子供センター)でスタートしました。それが「子育てコンシェルジュ」です。
【A先生】 「子育てコンシェルジュ」は、相談に応じて適切な支援につなげる案内人です。神栖市では平日の午前中、4つの児童館で「子育てコンシェルジュ」の専門スタッフが相談窓口を開いています。曜日ごとに4つの児童館を巡回する形で、平泉児童センターは火曜日です。
――どのような相談が多いのですか?
【A先生】 育児相談・保育園や幼稚園・一時預かりなど様々です。内容によっては相談だけではなくその後のフォローも必要になってきますし、場合によっては適切な機関や窓口を紹介したりもします。
【Y先生】 乳幼児をもつお母さんが、子育て支援の相談窓口にわざわざ電話して行くのは、気持ち的にも体力的にもちょっと・・・って思いますよね。でも普段利用している児童館にコンシェルジュがいるのなら、きっと相談しやすいんだと思うんです。コンシェルジュ側としても継続的に児童館を巡回することで、相談してくれたお母さんたちを気にかけていくことができます。
【A先生】 予約制ではないので、どうしても混みあってしまう時もあるんです。時には順番待ちしていただくことも・・・それについては今後どう改善していくかが私たちの課題ですね。
このような心に寄り添ったきめ細かい支援が、多くのお母さんたちの支えになっているのだと感じました。神栖市は茨城県で(つくば市に次いで)二番目に児童館数が多いのだそうです。神栖市が「子育てのしやすいまち」というのも納得です。
――では最後に、先生にとっての平泉児童センターとは。
【Y先生】 平泉児童センターは「大きな木」だと思っていて。ちょっと木陰で休んだり、実が食べたかったらついばみに来てもいいし、宿り木に止まってもいいし。そんな大きな木なので、自由に来ていただいて好きなようにお過ごしくださいって、いつも思っています。手助けがいるようなら、いつでも手を貸しますよ~って感覚で、私も一緒に子育てを学ばせてもらっている気持ちです。ですからいつでもお立ち寄りください。
【A先生】 私も最初、知らない土地での子育てにすごく悩んでいたので。ですから子育ての悩みも喜びも共有できたらいいな、一人じゃないよ、っていう気持ちでお待ちしております。赤ちゃんから幼児・小学生・中学生そして18歳まで、児童館に通ってくれたらと思いますね。もちろん親になっても。「切れ目ない支援」を目指していきたいです。
【館長先生】 平泉児童センターに限らず、すべての児童館が「第二の居場所」になってほしいってことかな。ただ来て、いてもらえる場所に。児童館は、イベントがあるから来るのではなく、日頃から利用してもらうのが本来の役割だと思っています。そこに付属して何か楽しいことをやりましょう!というのが児童館だと思っているから。とりあえず来てもらう。そして次も来たいと思ってもらえるように。みんなの「居場所」になってほしいですね。
関連ページ:【神栖市】児童館インタビュー vol.1 平泉児童センター (前編)
【平泉児童センターの詳細情報】
■住所:茨城県神栖市平泉2783-3
■電話番号:0299-93-8820
■利用時間:午前9時から午後5時半 日曜・祝日も利用できます(休館日12/29~1/3)
■ホームページのURL:http://kamisu-j.com/
※記事は2017年6月の情報です。