AM9:00。
開店時間すぐのCoccinelle(コシニール)で遅めの朝食をとりながら、この原稿を書いている。オードリー・ヘプバーンがティファニーの前で食べたのはデニッシュペストリーだったか。私が選んだのはバジルトマトとベーコンのガレット、そしてコーンスープに重めのブラックコーヒー。コーンスープはクルトンが大きくてカリッカリなのがお気に入り。私の他にまだ客はいない。80年代のAORミュージックをBGMに、この広い空間をひとり占めだ。
傍らにはレポート用紙とペン。私が文章を作るのは、キーボードよりも俄然ペンだ。時々文章に詰まると、レポート用紙の端っこにくだらないイラストを描いたりする。出来もしないペン回しにも挑戦するが、あっけなくペンは床に落ちた。よかった、誰にも見られてはいない。
やがて60代くらいの男性がひとりやってきた。
彼はコーヒーを注文し席に座ると、片手に小さく持っていた新聞をテーブルに広げた。新聞を大きく広げられるのは、自分の家の居間かそれともここか。それくらいこの店はテーブルにゆとりがあるのだ。時折コーヒーを飲みながら、新聞に目を通す。自宅の居間では奥さんがブイーンと掃除機をかけながら「おとうさん、掃除機かけるからちょっとどいて」・・・彼は暫し考えてから、広げかけの新聞を手に持ってここに来たのだ、たぶん。新聞を広げる男性。妄想を広げる私。
次にやってきたのは年配の夫婦。上品でとても仲の良さそうなご夫婦だ。
「どこに座る?」「明るいところが良いわね」そんなやさしいやりとりが聞こえてきそう。窓際の小さなテーブルに並んで座る夫婦。外を眺めながらどんな会話を交わしているんだろう?ふと、チャーミーグリーンの老夫婦を思い出す。え?知らない?80年代中頃から90年代初めに流れていたCMですよ。
このお店はTSUTAYAアウトレット内にあるので、店内の中古本を読みながら過ごすことができるのが魅力の一つだ。
私はペンを止め、目の前に置かれているアウトドア雑誌に手をのばす。今度はその隣にあるワインの本。あ、その隣にはおしゃれなハンドメイドの本もあるじゃないの。
ペンが止まったまま、気が付くとすでに11:00をまわっていた。
ランチタイムを前に、だんだんと客が増え始める店内。ひたすらにノートをとり勉強をしている女性、静かに本を読む男性、赤ちゃんを連れたママ友たち、パソコンに向かう若者、おしゃべり好きな奥様。朝とは違う、少し賑やかな雰囲気。とはいえあまりお互いが気にならないのは、お店に空間的ゆとりがあるからだろうか?徐々に店員さんたちが忙しく動き始める。私のペンも走りだす。
2杯目のコーヒーは、軽めのものにしてみよう。
【Coccinelleベーカリー&カフェの詳細情報】
住所:茨城県神栖市平泉527-80(TSUTAYA OUTLET 神栖店内)
電話番号:0299-95-6866
営業時間:午前9時から午後8時
定休日:なし
関連ページ:【神栖市】コシニール ベーカリーカフェ 神栖店
※記事は2017年6月現在の情報です。