佐原の中心部を流れる小野川沿いには、風情ある町並みと風に揺れるしだれ柳。休日ともなれば多くの観光客が訪れ、小江戸佐原の散策を楽しんでいます。

この日は平日。日常の落ち着きと慌ただしさが入り混じったような雰囲気の町中を、駅前の観光案内所で借りたレンタサイクルでのんびり走ります。通りから一歩入り狭い路地を行くと、昔よく通ったお団子屋さんがだいぶ前に店を畳んだことを知りました。

さて、この日は『佐原のかき氷』がお目当て。
6月に開催された「かき氷コレクションin佐原2019」で、佐原にはかき氷を提供する飲食店が多くあることを知りました。今回は明治期に建てられた町屋の風情を残す「いなえ」さんに足を運びます。

すだち香る、和三盆かき氷

格子の木戸と紺のれん。風情ある佇まいの軒先に、かき氷の吊り下げ旗がゆらゆらと揺れる。「いなえ」さんは夏期のみならず、一年中かき氷を提供している甘味喫茶です。
席に着いて出されたお茶は、ほのかに焚火のような香りがしました。「いり番茶」というお茶で、京都では普段使いのお茶として親しまれているそうです。冷たい「いり番茶」をいただくと、自転車で走ってきた汗がスッと引くのを感じます。

天井の立派な梁が印象的な店内。窓の外に見えるのは可愛らしい洋館と蔵。中庭には、かつて土蔵の基礎に使われていた銚子石と、震災で落ちた古い瓦が使われています。
こちらの洋館と蔵は、ギャラリーや音楽会などのイベントスペースとしても貸し出しているそうです。

開店直後なので、客はまだ私ひとり。
静かな店内にシャリシャリと氷を削る音が響きます。削られた氷はまるで絹糸のよう。つややかな白い束が器に山のように重なります。

うっすらと和三盆のシロップをまとった削氷（けずりひ）の上には、薄くスライスした”すだち”。
甘味喫茶いなえの「和三盆かき氷」です。

氷はとてもきめ細やかで、口の中ですうっと溶けていきます。そこへ口当たりのやわらかな和三盆シロップ。時折すだちの酸味をアクセントに、また和三盆の甘みを楽しむ。

和三盆の優しい甘みとすだちの爽やかな酸味が調和し、最後の一杯をスプーンが掬う。ごちそうさまと手を合わせる。これぞ大人のかき氷。（もちろんお子様にもおすすめですよ。）

散策の途中に立ち寄りたくなる

他にも宇治金時や塩まめみるく、季節・期間限定かき氷などもあって、かき氷だけでも目移りしてしまいます。
またクリームあんみつに豆かん、あたたかいお饂飩などもあるので、佐原散策の休憩にちょっと寄りたくなるお店ですね。

甘味喫茶いなえの「いなえ」の文字は、佐原の「佐」の字（イ・ナ・エ）からとったもの。お隣には、老舗の醤油・ごま油、作家が心をこめて作った器などのセレクトショップも併設されています。

佐原の町に溶け込んだ、とても素敵なお店です。佐原散策の際はぜひお立ち寄りください。

【店舗詳細】

• 住所
  千葉県香取市佐原イ511

• 電話番号
  0478-54-7575

• 営業時間
  10：30～17：00

• 定休日
  水曜日

◇「いなえ」公式サイト⇒コチラ

※記事は2019年7月現在の情報です。

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